楽しさや魅力を伝えたい!
需要創出の種は『共感』
建物の内装、特に住宅の室内の壁は塗料の未開分野。ここに需要を創っていくことは、量の拡大ばかりでなく、人々の暮らしの場に入り込むことで塗料が身近な存在になり、その価値が変貌、真の意味で塗料の普及が図られることに大きな意義がある。本紙1面のタカラ塗料の事例はその象徴的な活動として、今特集号のトップ記事とした。同社以外にもさまざまな角度で住宅内装需要の開拓に取り組んでいる業界企業が出てきた。ひと昔前に比べ、山は大きく動き出している。
建物の内装、特に住宅の室内の壁は塗料の未開分野。ここに需要を創っていくことは、量の拡大ばかりでなく、人々の暮らしの場に入り込むことで塗料が身近な存在になり、その価値が変貌、真の意味で塗料の普及が図られることに大きな意義がある。本紙1面のタカラ塗料の事例はその象徴的な活動として、今特集号のトップ記事とした。同社以外にもさまざまな角度で住宅内装需要の開拓に取り組んでいる業界企業が出てきた。ひと昔前に比べ、山は大きく動き出している。
先日、自宅の内装をペイントでリフォームした一般のお宅を訪問した。既存クロスの上に関西ペイントの漆喰塗料・アレスシックイを塗装、その機能性による臭いや空気質の改善もさることながら、「汚れて、傷んでいつも気になっていた壁紙がリフレッシュされたことが嬉しい。壁紙の上に塗装できるなんて知らなかったし、お友達にそのことを話したら皆さん一様に驚かれていました。壁紙を張り替えるのは大仰で躊躇するけど、ペイントリフレッシュだと手軽で気分も楽。そのことを知れば、やる人も結構多いのではないかしら」と主婦感覚のコメント。
一説によると、室内の壁の汚れや傷みに潜在的な不満を感じ、我慢して暮らしている世帯は7~8割に上るという。そのすべてとは言わないまでも、ペイントリフレッシュの潜在客は膨大な数が眠っていると見ることもできる。室内の改善の有効な手段として認知されればかなりの需要は興ってくるはず。欠けているのはやはり、決定的に認知活動だ。
ただし、マス媒体を使って告知しても効果はあまり期待できない。今の時代、マス媒体のコマーシャルよりも、直接あるいはSNSなどを通じた身近な人の口コミの方が余程影響力が大きい。マス媒体のコマーシャルはむしろ敬遠される方向にある。ペイントリフレッシュのように生活実感を伴う必要のある情報は、身近な人から発せられる方が等身大の情報として映り、説得力は格段に高い。
そういった意味で、SNSを活用した認知活動は内装塗料を広める1つの手だ。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなど人と人とのつながりを広げるインターネットサービス・SNSはコミュニケーションインフラとして定着、これからも増大することは間違いない。
身近な人の情報発信という意味ではブログももちろんその仲間。例えば、普通の主婦がDIYで憧れの部屋づくりに奮闘している久米まりさん(大阪府)のブログは万単位のフォロワーを生み、そこからまたSNSなどで情報が拡散され生半可なテレビや雑誌より大きな宣伝力を持つ。
そこでのキーワードは「共感」。近所に住んでいそうな身近な感覚の人だからこそ等身大の情報として映り、自分もやってみたくなる。そのような影響力のある人のことをインフルエンサーと呼び、企業が宣伝に活用するインフルエンサー・マーケティングも既に本格化している。
久米さんのようなカリスマブロガーでなくてもインフルエンサーになれる。むしろより親近感の湧く存在として共感が高まるかもしれない。
塗料販売店のタカラ塗料では10名以上の女性スタッフが働いている。いずれもDIYやインテリアが好きで同社で働きたいとやってきたスタッフたちだ。そして彼女たちの仕事のひとつがブログの執筆。
消費者感覚でペイントを楽しみその魅力を伝えるブログはやはり多くの人の共感を呼び、タカラ塗料での商品の購入やイベントの集客につながっている。彼女たちのブログは同社の立派なマーケティング戦略なのだ。宣伝力があるからこそ「PAINTRANCE」のようなワークショップ活動も成り立つ。
ネットを使ったマーケティングを空中戦とするならば、実店舗を基点とした活動は地上戦。その地上戦でモデルケースになるのが、神奈川県の塗料販売店・荻野塗料が鎌倉に構えているスモールショップ「Paint & Color Plaza」だ。地域の人たち向けに絞ったペイントワークショップの継続と、地域コミュニティーへの露出と摺りこみで地道にDIYペインターを育ててきた。
店にふらりと入ってきた客が「今日はリビングの壁を塗るの」と店頭のカラーカードで色を選び、その場で調色をしてもらって持ち帰る、正に世界標準のペイントショップの光景が10坪に満たないスモールショップで普通に広がっている。ワークショップや地域への摺りこみ活動の中で伝えてきた「部屋の中に色を取り込むことの効果、ペイントのリフレッシュ感」(荻野宏之社長)が地域の人たちに響いてきたからに他ならない。そこにはやはり、「楽しさや魅力を伝えたい」という思いが通底しており、それが共感の種になっている。
広く業界のコンセンサスになってきた内装需要の開拓。塗料や塗装サービスを提供する側がその面白さや魅力を、実感を伴って伝えられるか。市場の共感はそこからしか生まれない。
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