粉体塗料、国内増強に着手
Q. 粉体塗料を取り巻く現状と成長性についてお聞かせください。「現在、国内の粉体塗料は年率103%前後で推移し、塗料品目の中でもコンスタントな成長を続けています。成長の背景にあるのは、環境対応もさることながら、人材の問題があります。少子高齢化に伴い若手技能工の確保がますます難しくなる中で、省人化や自動化が図りやすいことが粉体塗装の関心を一層高めている理由です。かつて粉体塗装は、VOC対応を図る大手企業を中心に導入が進んできましたが、今後は中小規模へと裾野を広げていくと見ています」
Q. 市場における貴社のポジションは。「国内においてはトップシェアにあり、市場シェアは30%前後といったところでしょうか。過去の経緯から品質力とサービス力を強みに大手メーカーの内製工場を中心に伸ばしてきました。しかし、これからは規模が異なるユーザーにも、品質、コスト対応力を含め、しっかりと競争力を持った形で対応していくことが今回の生産増強の目的にあります」
Q. 生産プロセスを刷新するということですが、具体的には。「ノウハウも絡んでいますので詳細は申し上げられませんが、千葉工場内の遊休建屋に新ラインを設置します。概要としては、粉体塗料製造に関わるすべての工程に要する時間を圧縮したことで、従来の人員数、時間で生産量の倍増を実現したことが最大のポイントになります」
Q. 即納、少量多色対応を確立するということでしょうか?「今回の施策は、とりたてて即納、多色化を訴求するものではありません。まず重要なのは、品質とコストの両立です。現在も需要が伸びている中で、フル操業に近い状態が続いています。当面はユーザーが求める性能、品質、コストを満たした上で、供給力を確保するところに意義があると考えています」
Q. ターゲットとなるのは。「広義でいえば、一般金属塗装分野となりますが、まずは焼付メラミンや焼付アクリルからの粉体シフトをキャッチアップしていきます。もちろん、それぞれの用途に求められるスペックは違いますので、それぞれユーザーが求める色やスペックをメーカーとしてどのように量にまとめていくかが重要になります。これについては、用途別の製品展開など、新しい製品展開やプロモーションが必要になると考えています」
Q. 見本帳による常備色の運用は。「今のところ色見本帳による常備色展開は考えていません。小口多色ニーズに関しては、1kgオーダーに対応するアルティカラーがあり、それとは一線を画しています。あくまでもユーザーが求める品質、コストに応えることが先決です」
Q. 成長領域である海外での生産増強も選択肢にある中、あえて国内での投資に踏み切った理由は。「まだ成長余地のある国内粉体塗料市場で圧倒的なポジションを確立するのが狙いです」
Q. グループ全体で推進するESG経営との連動も強調されています。「ESG経営による企業価値の向上が重要視されるグローバルトレンドに対し、今回の生産増強はESG経営と実際のビジネスに落とし込んだ具現化のひとつと捉えています。単なる増強策として、人員や設備を追加したのでは意味がありません。いかに工場内の労働環境や地域環境を守りつつ、社会のニーズに応え、事業としての持続性を両立していくか。海外には日系顧客も多くいらっしゃいますので、将来的には今回の生産モデルを先例に海外拠点とのシナジーを高めていく予定です。工場が完成しましたら、お客様や地域住民の方々にも見て頂きたいと考えています」
