2017:06:02:11:31:08

中計スタート、事業改革正念場へ

カシュー

代表取締役社長戸次(べっき)強
パソコンやモバイル分野での成長が一転し、事業の再編の中で方向性を模索してきた。社長に抜てきされ若くして就任、周辺からは期待の半面様子見もある中で、どう戸次色を出していくのか。「全社員のポテンシャル(可能性)を信頼することをベースに変革(チェンジ・チャレンジ)したい」と、まずは静と動のバランスでコンセンサスづくりに注力する。

Q. 新中計の概要は。「チェンジ・チャレンジの精神をより徹底させ、スローガンとしては"お客様利益を追求し良きパートナーとなる"と決定しました。我々工業用塗料メーカーを取り巻く環境は内外とも厳しいと認識しており、モノづくりの変革の中で立ち位置を明確にしない限り、事業チャンスを生み出せないと考えています。数字的な中期売上目標は170億円、10%アップを目指したい。グローバル化が加速していく中で海外売上比率が大きくなる想定ですが、その一方で国内事業の基盤をより強固なものとする必要があります」

Q. 海外事業は中国マーケットへの依存度が高いですね。「中国での事業テーマとしては、パートナーとの関係の構築が大きなテーマです。市場的にもパソコンやモバイル製品向けが多いので、パートナーとの関係を見直し、自動車分野などの比率を高めていきます。中国経済は減速したとはいえ、巨大マーケットですから成長を目指します」

Q. 提携関係を変えるのですか。「市場開拓やより顧客指向を強めるためには、どうしても現状の関係では物足りません。当社のイニシアチブをもっと発揮できるよう、出資比率を高めるなどの手を打っていきます」

Q. その他の海外地域への対応は。「アジア地域での展開を活発化させていきます。具体的には顧客指向の手段としてサプライチェーンをきちんと構築することがテーマになります。生産拠点の課題もそれに含まれます」

Q. 国内需要をどう伸ばしていきますか。「国内事業基盤は海外展開するためのテコですから、研究開発から生産、そして流通までのサプライチェーンの中の課題を抽出し、優先順位をつけて解決していきたい。まず技術開発面で言いますと、加飾技術の変化が急ですから、塗料・塗装だけをベースにしていては立ち遅れる可能性があります。性能や機能、そして意匠が三位一体のものとして先取りしていけるスタンスが重要だと思います。しかし、持てる技術だけでカバーできないところは大学など外部とのコラボで補完できる形をつくっていきます。着手したテーマのひとつにフィルム技術があります。その狙いは自動車内装用への対応です」

Q. 自動車用の比率を高める方向ですか。「当社の需要分野では自動車用はまだ低いと認識しています。国内事業の中核は自動車向けのシェアアップが最大の命題となります。中期的には売上実績で10%伸ばしたい」

マトリックス型へ転換

Q. 事業を活性化させるための人材育成については。「中期目標を達成するには人材・組織の在り方の革新が不可欠です。事業分野の縦割り組織からマトリックス型に変えます。塗料・樹脂それぞれの事業のマトリックスをつくり、相互の関係をそこから抽出していくスタイルです。両事業は一見接点がないように見えますが、技術や営業、また市場セグメントなどのマトリックスでは相関性を発見していくことができます。各スタッフが自己目標をより具体的に定める上でもメリットがあると考えています」

Q. マトリックス方式は海外事業でも活用できるのでしょうか。「この方式で一番期待できるのは対応スピードのアップです。例えば営業で上がってきた顧客ニーズをマトリックスに落とし込むと、技術・生産・供給といった流れ、つまりスピード感あるサプライチェーンを組むことが可能になります。当社独自の方式として定着できればグローバルスタンダードとしても当然通用するでしょう。まだスタート段階ですがね(笑)」

Q. 新規分野の開拓もテーマとなっています。「当社の持ちうる技術でカバーできる分野へ挑戦していきます。その1つに住設・建材分野があります。この分野へ参入する条件として鮮明な差別化戦略が必要になります。またトレンドの変化が速く、意匠ニーズの強い分野ですから、当社のソフトデザインセンター(SDC)の機能を生かせる分野であると考えています。システムキッチンでは木材を活用したデザインも目立ち、当社の木部用・金属用・プラスチック用塗料技術を一体のものとして提案していけます。特に木部用に関しては当社のオンリーワン製品"カシュー"をアプリケーションする課題があります」

Q. 企業としての原点となった製品ですね。「当社のアイデンティティとなった製品です。いまだにカシューが通り名となっており、このブランドを磨く必要があります。大学や外部の研究機関とも共同で新しいバージョンの開発に着手したところです。これから大きな方向であるゼロエミッションに対応できる天然由来の新カシューを近い将来投入したい」

Q. 企業体質の改善の面では。「収益性の向上を図っていきたい。原価低減は手を打ってきたところですが、トータルサプライチェーンの中でコストの低減を更に進めていきます。直近の課題と中長期の課題に分け、収益性の改善を図り、当面は安定的に4%の利益確保を目指します」

Q. ありがとうございました。

戸次(べっき)強氏
戸次(べっき)強氏

関連記事