シンナー不足機に塗装の価値を再定義
時代や社会の変動で変わる塗装の役割
弊紙4月22日号の1面(関連ニュース)にあるように、中東情勢の影響で塗料用シンナーが欠乏し、建築塗装業界はパニックのような事態に陥っている。政府は14日時点で、サプライチェーンの途中で出荷が滞っている箇所を特定し解消の見通しが立ったと発表したが、予断は許さない。この先への警戒で不安定な供給は続くだろうし、急騰した価格も高止まりするのではないか。そんな不安や疑念が晴れない。
それはさておき、今回の事態でふと疑問に思ったことがある。ナフサ不足の影響が、なぜ真っ先に「塗料用シンナー」に集中し、その矛先としてなぜ塗装業界、塗装業者ばかりに集まったのだろうかと。
シンナーを多く使うからといった理由なら、自動車(新車)の製造ラインだって大量に使用するだろうし、塗料用シンナーとグレードが違うとは言え、半導体の製造過程でもナフサ由来の溶剤は大量に使う。しかしそういった産業からは浮足立った声は全く聞こえてこない。
年間使用契約など購買形態の違いもあるだろうが、それにしてもシンナーを使う産業が数多ある中で、なぜ供給制限が塗装業界に集中し、シンナーを「通常通り入手できる」塗装業者がわずか2.7%にまで落ちるほど(1面参照)困窮する事態になったのだろう。
「認識がずれている」と叱られるかもしれないが、「産業として下に見られている」と言えはしまいか。今回のように急激な物不足に陥ったとき、産業間の比較で供給が後回しにされ、しわ寄せが集まってきてしまうような事態だ。建築塗装業界が抱えている根本的な問題が今回の事態で改めて顔を出した。うがった見方だろうか。
建築塗装の価値をいかに高め、それをどのように社会に表出していくか。古くて新しいこの課題を、今回の事態を機に改めて考えてみたい。
