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2026年春 建築塗料・塗装特集

住宅塗装市場の縮小バネにジャンプ

ミヤケン(群馬県)

住宅の塗り替え市場において個人事業から出発し、年商32億円にまで駆け上がった群馬県前橋市のミヤケン(宮嶋祐介社長)。自社元請型の塗装店としてトップに上り詰めた同社から出てきた言葉は、「今後、住宅塗装市場が伸びることは100%ない」(宮嶋氏)。大きく方向転換を図っている中で、次の成長に向けてスコープしているのは豊饒なOB客のマーケットだ。


上質な客層であった団塊の世代の退出を引き金に、翳りが見えてきた住宅塗り替え市場。「今はまだ何とか続いているものの、どこかのタイミングで需要は間違いなく激減する」と宮嶋氏は指摘する。

「当社もお付き合いのある大手ハウスメーカーでは今、新築住宅の外壁の9割がタイル仕様になっている。他にも30年、40年といった超長寿命サイディングが普及していることを考えると、そう遠くない時期に塗り替え需要はガクンと落ちる。そもそも着工件数も落ち続けるわけだから、住宅塗り替え市場が伸びることは100%ないと自分の中で決めている」と言い切る。

従って、塗り替え案件の新規獲得に重きを置いたこれまでのスタイルから、「OBのお客様とのつながりの中で確実に成長できるビジネスモデル」に大きく転換。その事業構築を急ピッチで進めている。

これまでの事業展開の中で2万数千件に及ぶOB客の層を築いてきた。ここに提供するサービスメニューを増やしながらOB客の母数も増やし、成長へ進めるのが基本路線だ。

既に2016年には本社の隣にリフォーム館を構え、水まわりを中心としたリフォームサービスをOB客に提供。そして2021年から開始した給湯システム「エコキュート」の交換サービスが大きく跳ねた。

当時、コロナ禍とウクライナ紛争で品薄だったエコキュートを、在庫を多く抱えるリスクを冒してまで即日対応できる体制を構築。生活のインフラとして緊急性を要する給湯器の交換を即日対応したことで事業が急伸、同社のキラーコンテンツになった。

エコキュート交換工事のフランチャイズ「チカラもち」に加盟して専門店を出店。ここでは、他の加盟店から事業譲渡を受けるなどして出店を加速し、群馬、埼玉、栃木、長野に現在6つの専門店を構えている。

「出店の際に事業譲渡の形をとるのは、その店が既にOBのお客様を抱えているから。エコキュートだけなら次の交換まで待たなければならないが、提供できるサービスが多ければそれらをクロスセリングでき、OBのお客様の増加がそのまま売上拡大につながる」と説明。

同社は現在、塗装、水まわり、エコキュート、太陽光、外構リフォームを展開しており、「サービスの拡充とOBのお客様の増加がリンクする成長モデルが鮮明になってきた。豊かな暮らしに役立つサービスをもっと充実させ、住まいのトータルパートナーとして事業を発展させていく」と視界がクリアになってきた。

OB客という豊饒なマーケット

こうした展開の中で欠かせないのが、OB客との良質な関係づくりだ。そのための活動の中で特に重視しているのが「定期点検」。

同社では施工終了後2年ごとに、施工箇所に不具合が起きていないかなどを確認するため、OB客を定期訪問。「ここでは自社の施工の粗探しをするつもりで行くよう訪問するスタッフに指示しており、そこで少しでもおかしなところがあれば、例えお客様が言われなくてもすべて無償でやり直す。不具合の言い訳をしたり、ゴネたりしているようではお客様との良好な関係づくりなど到底できない」と定期点検への向き合い方を説明。そうしたリスクを「平気で背負える」という財務内容を備えていることも同社の強みのようだ。

そして、この定期点検のもう1つの目的は、「お客様の気づき」の誘導だ。「例えば、エコキュートのおおよその寿命が10年であることや、水まわりの取り換え時期の目安、窓リフォームによる快適性の向上などお役に立ちそうなご案内をし、お客様の気づきを引き出す活動。そこで仕事につながればラッキーだし、つながらなくても気づきにコンタクトしておくことで、必要なときに声をかけていただける存在になる」と説明。営業的な印象を感じさせないことがポイントだ。

OB客にとってもストレスのない、こうしたフランクなアフター体制を仕組化できていることが「他社との差別化であり、OBのお客様のボリューム感を1つのマーケットとして成立させるポイント」と位置付ける。

こうした仕組みを整えた上で、次に掲げるのが各拠点の複合店舗化だ。

現在、塗装、リフォーム、エコキュートの複合店舗として展開しているのは前橋本社だけ。「ここだけで毎月70〜80件のクロスセリングがコンスタントに発生しており、複合店舗化の効果が見えている。従って、それぞれの店舗を複合化していけば自ずと売上も拡大する」と次の成長へ向けた方程式も確立。塗装市場の縮小をバネに更なる飛躍を目指し、今期(7月)の売上目標37億円も確実な情勢だ。


宮嶋祐介社長
宮嶋祐介社長
売上推移
売上推移

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