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2026年春 建築塗料・塗装特集

製缶メーカー×ドローン、異色の組み合わせに注目

ドローン塗装を新たな次元に

東洋製罐

ドローンからスプレー缶を噴射してさまざまな作業を行う装置が活躍している。東洋製罐のドローン用スプレー缶噴射装置「SABOT-3」だ。屋根の亀裂に防水塗料をシュッと吹き付けて雨漏りをストップ、足場をバラした後の高所のタッチアップや鳥の忌避剤の吹き付けなど作業は多彩だ。「ドローン×スプレー缶」といった異色の組み合わせが活躍の場を広げている。


東洋製罐が開発した「SABOT-3」は、ドローンに着脱できる世界初のスプレー缶噴射装置。スプレー缶の中の液体を空中から噴射して、さまざまな用途に役立てることができる。点検や撮影などこれまで"見る"ことが主体だったドローンに、吹き付ける、塗るなどの"作業"をさせることに成功。その用途開発に注目が集まっている。

SABOT-3は、DJI社製の産業用ドローンにワンタッチで取り付けられるスプレー缶噴射装置。ドローンのポートにそのまま装着できるので、カメラなど他の搭載物への切り替えもスムーズで汎用性も高い。

装着すると自動的にドローンの飛行制御アプリに認識され、操作を行える。SABOT-3に搭載したカメラでモニタリングしながら進む・停止するなどの飛行制御、そしてスプレー噴射の操作を手元のコントローラーで行える。

ドローンに取り付けた噴射装置の内部にBOV(Bag On Valve)式のスプレー缶をセットし、コントローラーで噴射を操作する。中の液体が霧状に噴射されるLPGスプレー缶と異なり、水鉄砲のように直線状に噴射されるのがBOVスプレー缶の特徴だ。

「BOV缶は、アルミの缶胴の内部に液体が充填されたパウチが宙づりで保持されており、缶胴とパウチの間に高圧の窒素ガスを封入。スプレー缶のバルブが開くと窒素ガスの圧力でパウチが押しつぶされ、中の液体が噴射される仕組み」(同社テクニカルセンター新製品創出チーム・荒木宗司副主査)と説明。「液体が強い圧力で直線状に噴射されるので、プロペラによる気流の影響を受けにくく、最大5メートルの長射程とピンポイント性を実現。非可燃性の圧縮窒素ガスを封入しているので安全性も高い」とドローンに適したスプレー作業を実現した。

開発に着手したのは2018年。会社から新規事業創出の任務を与えられた荒木氏が、成長市場と目されていたドローンに着目。「ドローンとスプレー缶を組み合わせて新しい価値を創造できないか」との発想で開発を始めた。

その過程でBOV缶とドローンの適性を見出し、SABOTのプロトタイプを製作。それを2019年の『国際ドローン展』に出展してみたところ、「予想を超える反響があり市場性を確信、会社として正式に取り組むことになりました」と経緯を説明する。

その後、製品化に向けて開発を進め、2022年に初代のSABOTを上市。そして今年、3代目となるSABOT-3へとバージョンアップし今に至っている。

同装置専用のスプレー缶は現在、塗料系やマーキング剤、鳥忌避剤など6種類を用意。このうち塗装業界に近いところでは、工場の折板屋根などの雨漏り補修でシリコーンコーティング塗料がよく使われているということだ。

「屋根の亀裂やボルトの破損部などから雨漏りが起きていて、それを止めたいといったケースですね。空中からSABOTのカメラで不具合箇所を特定し、そこに防水性のシリコーンコーティング塗料をピンポイントで噴射、雨漏りを止めるといった作業です。足場も不要で、人が作業するための安全対策も必要ないので工場側としては低コストで雨漏り補修ができると好評です」とコメントする。

他にも、足場を解体した後に見つかった不具合箇所のタッチアップやインフラメンテナンスにおける修繕箇所のマーキング、錆の進行を抑える黒錆転換剤の噴射などドローンによるスプレー缶噴射の作業が広がっている。

一方同社は、SABOT-3に接続して制御できる伸縮装置を開発。持つ人の意のままに伸縮する"如意棒"にちなんで製品名を「NYOI(にょい)」と命名、上市を控えている。ドローンをホバリングさせた状態で伸縮操作ができるため、刷毛やローラーによる塗装など対象物への接触を伴う作業も可能だ。

同装置は、収縮時の全長1,160mm、ストローク1,500mmで最長2,660mmまで伸長。SABOT-3内のBOV缶から噴射された内容物がNYOIのパイプを通って先端に到達、そこに取り付けたツールで対象の壁などに接触して作業を行う。噴射では困難だった高粘度塗料を刷毛やローラーで塗る作業や、至近距離から液体を霧状にして吹き付ける作業も行える。

「カーボン製のためストロークを伸ばしてもしならず、わずか750gと軽量でドローンの飛行性にも影響ありません」と説明。空中でホバリングしたドローンから刷毛やローラーが"にょい"と伸び出し、高所の壁を塗装する。そんな未来の塗装に大きく近づいた。

そして同社は、NYOIを手に持って作業できる「tNYOI(てにょい)」を併せて開発。作業者の身長と合わせると5メートル近い高さまで"手塗り"ができることになる。「tNYOIだとドローンやスプレー缶噴射装置のSABOTも要らないので、手が届きやすい価格帯に設定できると思う」とし、塗装業界にもアプローチしたい意向だ。


SABOT-3を搭載したドローン
SABOT-3を搭載したドローン
ドローンによる刷毛塗装をNYOIで実現
ドローンによる刷毛塗装をNYOIで実現
tNYOIで塗装(イメージ)
tNYOIで塗装(イメージ)

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