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2026年春 建築塗料・塗装特集

「しびれる仕事」集まる特殊仕上のスペシャリスト

アルバ(名古屋)

材料と道具を自在に操り、磨き上げたテクニックで独創的な意匠を生み出す塗装職人・畑康彦氏(写真)。名古屋市の建築塗装会社・アルバの経営者だ。磨き壁、版築仕上げ、かき落とし、西洋漆喰、本漆喰...湿式仕上げならではの無限の表現力がクライアントを魅了し、設計やゼネコンからの指名が絶えない。自社の進むべき道を「技」で拓いている塗装店を訪ねた。


ハイブランドのショップやラグジュアリーなホテル、大企業のオフィスやショールーム、経営者や著名人の自宅など、凝ったつくりの内装仕上げを要望されたとき、仕事を請けた設計士やゼネコンなどから必ず声がかかる。「新規の案件が続き、毎晩夜中まで見積もり作業に追われている」(畑氏)と忙しい日々が続いている。

人気の秘密は、同社の「現場をおさめる力」だ。「意匠」という抽象的で捉えどころのない注文に対して、クライアントの想像を上回る仕上げで応え、顧客満足を獲得。「アルバに任せておけば心配がない」との評価を築き、高度な意匠表現や難しい注文のときほど設計やゼネコンから頼られる存在。それだけに、「失敗のできない、しびれる仕事」が続く。

「クライマテリア-ジョリパット」「OLTREMATERIA」「MORTEX」「VALPAINT」「FARROW&BALL」「Purometallo」「Sto」「Senideco」「SanMarco」などなど、国内外の高意匠塗料や塗材の施工を極め、塗装から左官まで各種の道具や技法を駆使、畑氏が率いるアルバの意匠表現は無限に広がる。石や土や金属やデニムなどの素材感、エイジングやフォーフィニッシュによる特殊効果、西洋漆喰や本漆喰といった伝統的な仕上げなど同社の引き出しは多彩だ。

「この仕事は、発注側の頭の中にあるイメージを共有する想像力と、それを塗り板(サンプル)として具現化する創造力、そして現場で忠実に再現する実現力が求められる」と畑氏。そのどれもが一流であることを、途切れることのない仕事量が物語っている。

ジョリパットで美的感性スパーク

中学卒業後すぐに建設業に入った。就いた仕事は「パテ屋」だ。東海地方に特有のパテ打ち専門の職種。クロスや塗装の下地づくり、石膏ボードのGL張り、ヘラやコテによるパテ打ちなどの修行を積み、18歳で独立した。 
 そこから10年以上パテ専業者として個人事業で展開し、1996年に有限会社畑内装として法人成り。パテ屋の仕事を続ける中でクロス張りなど仕上げの仕事も徐々に取り込み、内装仕上げ全般を請負う業態へとシフトした。
 この間、メインの下地づくりで培ったスキルが今のアルバの土台になっていることは間違いない。精度の高い下地づくりができるからこそ、仕上げの鮮やかさがより際立ち、同社の強みとして実を結んでいる。

そして、内装業者としてのバリエーションを増やす中で出会ったのがアイカ工業の「ジョリパット」だ。「色や柄や質感の自由度があり、さまざまな技法を掛け合わせることで表現力は無限に広がる」と、湿式の意匠性材料にはまった。

小さい頃から絵を描くことが好きで、中学時代には絵画コンクールに何度も入賞するほどの腕前。ジョリパットのような意匠性材料に出会ったとき、その才能が開花した。

以降、国内外の意匠性塗料や塗材を精力的に取り込み、2006年には塗装会社として株式会社アルバに商号変更。特殊塗装のスペシャリストとしての地位を確立していった。

いずれの材料においても、その魅力を最大限に引き出す畑氏は、どのメーカーやサプライヤーからも一目置かれる存在。昨年、発売50周年を迎えた「ジョリパット」の記念誌(アイカ工業)には、畑氏の「仕事をしている手」の写真が巻頭を飾るほど、シンボリックな存在でもあるのだ。

自ら先陣を切り、特殊意匠仕上の世界を切り拓いてきた畑氏。「自分には師匠はいない。いつも本番(現場)での一発勝負で臨んできた」と、自らの感性とスキルを磨き、独創的な世界観を築いてきた。「失敗ができない、しびれる現場」で培ってきた仕事(仕上げ)には、やはり迫力が宿っている。

会社に入った二人の息子も成長し、中心メンバーとして活躍。頼りになってきた。仕事も途切れることがなく、次々とオーダーが入ってくる。この分野全体の傾向としても「クロスやシートによる装飾から湿式による装飾仕上へと移っており、仕事量は増えている」と言及。そうした恵まれた環境にあるだけに、「若い人たちにこの仕事の魅力を伝え、業界に入ってきてもらうのが目下の課題」と口にする。

「いくらAIやロボット化の技術が進んだとしても、この仕事だけは人の手でしか担えない。世の中が変わろうとも『美』を求める人間の心理は不変だし、デジタル化が進めば進むほど人の手でしか担えない美の表現(仕事)は価値が高まると思う。業界の魅力発信に努めていきたい」と前を見据える。


畑康彦氏
畑康彦氏
アイカ工業 版築仕上
アイカ工業 版築仕上
クロンダイク仕上
クロンダイク仕上
メテオレ10マルモリザート
メテオレ10マルモリザート

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