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2025年建築塗料・塗装
マーケットレビュー(秋)

住宅塗装市場を襲う「2025年問題」

次のフェーズに向かう転換点に

建築用塗料・塗装の需要を長らく支えてきた、戸建て住宅の塗り替え市場の縮小が明らかになってきた。最大の要因は、団塊の世代の市場からの退出だ。この1~2年で鮮明になった市況の低迷は、コロナ禍や物価高による消費の変動といった単純なものではなく、最大ゾーンだった団塊の世代の退出という構造的な問題をはらんでいる。業界企業も戦略の転換を迫られる。


ちょっと衝撃的な数字を見つけた。団塊の世代の持ち家率だ。この世代の持ち家率は86.2%とほぼ9割に達し、全世代を通じて突出。しかも一戸建てが75.3%と圧倒的多数を占める。内閣府のサイトに出ていた。

団塊の世代とは、戦後のベビーブーム(1947~49年)に生まれた800万人を擁する世代人口の塊(かたまり)。1980年代後半のバブル期に働き盛りを迎えたこの世代は、所得も高く消費も旺盛で、年間170万戸前後という空前の住宅着工ブームをこの頃に生み出した。郊外庭付き一戸建ての分譲住宅がバンバン建てられ、売れまくった。

こうした背景の上に住宅の塗り替え市場は成り立っていた。ペイントハウスを筆頭に、1990年代の後半に現れた住宅塗装リフォームの訪問販売会社が急成長できたのは、その頃から塗り替え時期を迎えた団塊の世代の膨大な住宅ストックがあったからだ。

貯えもあり、消費にも旺盛な人が多いこの世代の施主は、『壁を触って白い粉が手のひらに付いたら塗り替えのサイン』『10年に一度は塗り替えが必要』など業者側の宣伝文句に乗ってくれる"良いお客さん"でもあった。

訪販に続き、元請型の塗装店、ホームセンターや家電量販などの大手小売業、そしてOB客の塗り替え事業を始動したハウスメーカーなどが相次いでこの市場に参入。それらの事業者がエネルギッシュに活動できたのも、それを受け入れる住宅ストックと気のいいお客さんの塊が控えていたからだ。

とりわけ、それまで下請けに甘んじていた町場の小規模な塗装店がその恩恵を受けた。施主から仕事を直接受注する元請ビジネスを成功させることができたのも、この豊饒なマーケットに支えられたものに他ならない。町場のペンキ屋さんの営業力でも十分に通用するマーケットが広がっていたのだ。

90年代の後半から急拡大した住宅の塗装リフォームは、団塊の世代の施主層の数度の塗り替え需要に支えられながら、その後の30年間、ほぼ"成り行き"で成長してきた。

そして、団塊の世代の全員が後期高齢者になることで生じる「2025年問題」は、住宅の塗り替え市場も例外ではなかった。この世代の"最後のリフォーム"は既に終わり、かつての需要の塊もその姿をとどめていないからだ。

それによる市場縮小の動きは、本来なら2020年頃にもっと顕著になるはずだった。ただ、コロナ禍の巣ごもり消費で塗り替え需要が一時的に増え、問題が先送りされた。その分、需要の先食いの反動が重なり、市場の冷え込みがより顕著に表れた。

建築用塗料・塗装の需要を長らく支えてきた住宅の塗り替え市場が大きな転換点を迎えた今、そこに主軸を置いてきた業界企業も戦略の練り直しを迫られる。これまでの30年は、ある意味"いいお客さんの塊"に支えられた受動的な成長であった。その成功体験の呪縛から脱却し、いかに能動的な戦略を描けるかがポイントだ。

が、悲観することはない。住宅を含め、まわりを見渡せば建物だらけだ。塗料・塗装がアプローチできる需要は限りなく広がっている。「塗装」という技術・技能やサービス、「塗料」という機能材料・色彩材料の価値や魅力を改めて定義し、広く届けられるかがカギだ。住宅塗装市場の転換期をバネに、次のフェーズに向かう発想と行動が求められている。


※ペイント&コーティングジャーナル2025年10月22日号建築塗料・塗装特集Ⅱより

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